半紙・画仙紙・料紙などの名前に利用される「本草」?? 紙トップへ みなせトップへ
 
「本草」、「本草紙」、・・・、・・
「本草」、「本草紙」なる言葉は、書・水墨画などに代表される墨を基調とするオリエンタルアートの世界で「画仙紙や半紙」などの「紙の名前」として使用され、そう説明されることがよくあります。
何時の頃からか、は定かではありませんが「さほどは古くない近代」、
「楮を主原料にした」、または「楮(こうぞ)」を原料の一部にした紙、すなわち「楮紙(ちょし、こうぞし)」に、任意に与えられた「俗称」のひとつとして「本草」を利用し、これが広がり「本草」とは「※※の紙」である、などの意味として使われるようになりました。
が、本来の「本草」とはこれら何らかの定義ある「紙の呼び名」、或いは「紙の種類や名前」ではありません。
更に、「本草」の語感から高級、且つ高品質のイメージが強く感じられるのでしょうか、
一部の販売ルート、或いは販売者は多様な「楮紙&楮」を含む「画仙紙」、或いは「楮紙に似た雰囲気を持つ紙」に好んで「本草」の名を採用しています。
時には、それぞれの販路や販売者により、紙料として、或いは紙料の「一部」として楮を用いた紙、すなわち「楮紙」を、「本草」とし、更に一部は、その紙の持つ雰囲気でさえ「楮紙」とは無縁の随意の紙に「本草」の名を採用する。この例も存在します。
大辞林 第二版 (三省堂)では
【本草】 (1)植物のこと。
(2)特に、漢方医術で薬の原料とする薬用植物。また広く、薬用となる動植鉱物を含めてもいう。
(3)「本草学」の略。
広辞苑では
【本草】 (1)薬用になる植物。また、薬草をはじめ薬物として用をなす玉石・木竹・禽獣・虫魚・亀貝・果などの動植鉱物の総称。
(2) (1)の産地・効能などを述べた書物。
(3)本草学の略。  です。
いずれにしましても、本来言う「本草」とは「大辞林」「広辞苑」で述べる前述意であって紙の名前、種類を意味するものではないことをご案内します。
20世紀後半頃から、「本草」の名を与えられた画仙紙の多くに「楮紙」、「楮紙系」、或いはその範囲を持つ紙種が多く見受けられるように「本草」の意味するところは変化してきています。
本草の持つ言葉の響きと前述の流れから、いずれかそれほど遠くない将来「本草」と「楮紙」が同義として使用される、現在その流れが出来つつあるようにも感じられ、「本草」の本来意とは無縁の紙種「楮紙」「楮紙系の紙」「楮紙に似た雰囲気の紙」=「本草」。そんな時が来るのかも知れません。 
以上簡単ですが・・・・山口j一(山口そう一)

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