ローセン=蝋箋=紙  
ローセン=蝋箋=加工 とは
みなせトップへ
ローセン加工とは?

ローセン紙は、書の特殊高級紙として平安朝期に中国から持ち込まれたようです。
平安期に書かれ、現存している古筆の中に「ローセン加工」を施された紙が沢山残っています。

紙面全体に塗り込む加工を施した「全面ローセン」、
木版などを押した部分にだけこの加工を施した「紋ローセン」・・・・、など
色々な加工方法が考案され実行されていますが、古くは「全面ローセン」が主だったようで、それに手書きで色々な模様を書き込んでいます。更に、金や銀の箔を振るなどして、それも純金などを用い豪華に仕上げたものが珍重されました。
この評判故、様々な時期に、本当の紋ローセンとは全く違う加工方法と出来上がりにもかかわらず、名前だけが「紋ローセン」の加工紙が加工者ないしは発売者から「紋ローセン」と名付けられ流通しています。

中国製の本ローセン紙は平安朝期から昭和期まで、一時的には途切れた時期もあったとは考えられますが、継続的に輸入されていたようです。

1970年頃から、恐らく「文化大革命」の影響が大きく絡んでいるのでしょうが、中国での生産がストップしたらしく契約することはおろか、中国国内でもローセン紙を見かける機会がなくなっていました。
そしてその後一時期ではありますが「ローセン加工」の技術は途切れ、契約どころか中国の文房四宝担当者ですら「ローセン紙」が何なのか判らない状況の時期がありました。

歴代中国のすぐれた作家の手による手描き+純金箔振りの豪華なものでなくてもせめて本当のローセン加工を施した紙が出来ないものかと、
当時、中国文房四宝の関係者に会うたびに
「ローセン加工の技術者は、ほんの少し前まで実際に仕事をしていたはずだ、加工していた地域をさがせば上手な技術者がまだ残っている、今の内にその技術を復興させないと消滅しかねない」と技術の確保を要請してきました。

1990年頃から、出荷の中国窓口は複数有りましたが「安徽省製」としてローセンは蘇りました。
本物のローセン紙を知る人にとっては、紙そのものも全くお粗末、手描き模様を施していても凝視には堪えない線質と形状・・・只ローセン加工を施したと言うだけのものでした。
その後、全面ローセンは加工に慣れてきたのか少し良くなり、手描きの変わりに木版で紋を打ちその紋にローセン加工を施す「紋ローセン」、全面ローセンに金箔を豪華に振る玲金箋も多くなりました。
今では手描きはおろか木版でもない「シルクスクリーン印刷」で模様を表したものも多く出回っています。

中国で本当のローセン加工が復活しつつあった1990年頃、日本でも「本ローセンによく似た出来上がり」の「模造ローセン」加工紙が色々な加工紙作家により誕生しました。その作家の一部は「本ローセン」も製造できるようになっていました。
日本独特のきめ細かい仕上げで平安期の古筆に使用されたものとくらぺてもどちらがすぐれているのか判断が付けられないものもありました。
これら国産の内「模造ローセン紙」は徐々に廃れ、本物のローセン紙を作られた作家の品は評判はよいのですが、作家の加齢が主原因で、年の経過と共に生産量が非常に少なくなっています。
            
ロ ー セ ン 加 工 と は
言葉通り「蝋」を塗ったような光沢が感じられるように手を施した紙。
パラフィンなど水分をはじくものを塗布したのでは全く加工目的に合いません。水分は浸透させない、しかしそれを塗った紙の表面は水分をはじいてしまうのではなく、水分=墨=を乗せることが出来る、それがローセン=蝋箋加工=の基本条件です。
使用するのは「木蝋」。
紙全面に“木蝋”を塗り込め、貝殻や動物の牙(キバと表現しますが実際は“キバ”ではなく“歯”を使用するのが本来です)を用いて光沢を出します。現在ではガラス瓶などの丸く滑らかな面を使用することもあるようです。
   木 蝋 と は ?
有限会社エコ・オーガニックハウス 様ホームページより
【ハゼの実からつくられた、木のためのワックスです。木蝋はハゼの木が実をつける晩秋から冬にかけて採取され、1300年前から利用されてきました。
 江戸時代には、大名たちがこぞって栽培を奨励したことから特産品となり、海外では「ジャパンワックス」として知られています。
 和ろうそく、鬢つけ油、塗り薬として利用されてきただけではなく、現代ではさらに口紅、クリームなどの化粧品、鉛筆クレヨンなどの成分としても日常的に活用されています。
 一本の木から繰返し採取できる、環境共生型の素材です。溶剤、シリコン化合物等を含まない100%植物成分で、合成ワックスにはない優れた透明感、粘り、光沢があります。】

以上の「木蝋」と、中国がローセン加工に使用する「木蝋」とが同じものかどうかは判りませんが、
聞かされてきた話では「木蝋」は中国でのみ採取され、量も非常に少ない貴重品だ、一時期は「木蝋」として日本にも輸出していたが、原料の貴重さから、加工を施し付加価値を付けた「ローセン紙」の輸出しか認めなくなったと言うことでした。
聞かされていた話とは異なり、日本でもこんなに古くから生産されているものだったとは、・・・驚きです。
↑上へ商品紹介トップへ問い合わせ |