3 老坑の諸環境・原石盗難 | 硯トップへ | 端渓トップへ | みなせトップへ |
鉄扉を壊しもせず鍵で開け、
今期も10月半ばから採掘を始め搬出寸前だった坑中の原石を全部持ち去ったのです。 |
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老坑坑口 |
誰が見ても内部犯行か、内部に手引きした者がいるのが明らかな手口です。 犯人は管理を任されていた現場の最高幹部だったのです。 老坑の全面的な管理者である肇慶市人民政府二軽局は、今後の対策として 即刻の警備・管理などの全面見直しや強化と共に、不良人物と見なされる老坑内部人員の整理等を含む対応策を今まで以上に増強することになりました。 これにより、 事件発生から1999年2月の春節祭開けまでの約4ヶ月間 関連人員の信用再調査と警備強化策のため 一時的に採掘は見合わされました。 しかし、今回の盗難事件はこれをタネに、 「老坑は閉鎖された。 今買わないと、将来の高騰は目に見えている」 などと顧客を煽って商いしようとする人たちに格好の宣伝材料を供したことになるのかも知れません。 心から端渓が好きだからこそ、 その全部を知りたい見てみたいと、 人間としての本能に導かれ、 まじめに老坑を訪れる我々にとっては、 今後いつまで見学が許されるのか、 禁止されてしまうのか 今回の原石盗難が、調査入坑不許可の心配を感じさせる 予断を許さぬ状況を生んでしまったのは事実です。 |
実際、1998年12月26日に、老坑調査をご希望されていた方達と共に現場を訪れた時は、前々日の24日までは警備の理由から入坑の許可が出ず、ねばり強く続けた交渉の結果、前日25日の午前にやっと許可を貰ったのです。 この時も参加の皆さま全員が坑の底まで降り現場を確認されましたが、盗難事件の後、老坑に従事する全ての人の信用再調査中で採掘は中断していました。 楽して利を得ようとする輩は時・国・地域を越えて必ず現れます。 備えさえあればと言うのは机上の空論、 この種の「いたちごっこ」は人間がこの世に現れてから 一度たりとも無くなったことはありません。 関係各位が冷静な判断を下され、 我々や我々同様まじめに調査したいと願う者達の入坑は、 今まで通りのご便宜をいただけるように期待しつつも 大きな不安を感ぜざるを得ない事態なのです。 将来、警備などの理由に加えて採掘の効率化策などの理由で老坑の調査入坑が万が一不許可になるとしても、採掘が継続されるのは間違いないことであり、 まして、老坑が枯渇するなどは地質的にあり得ない話しなのです。 |
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