古墨の主たる生産地中国、中国の関連公司と「古墨」を契約する時、以下の商談により契約書が作られ、墨は契約書に基づいた古さの化粧を施されます。
古墨の契約時、50年もの、100年もの、200年もの、・・・、など見た目の古さを自在に指定し注文することが出来ます。正真の古墨と同型の「比較的現在に近い時期に造られた現代の墨」を、発注者の希望に応じた製造期の状態(外観上)に仕上げてくれるのです(個々の発注者の時代感と製造者の時代感の差はこの限りではありません)。 |
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古墨の真贋を鑑定をする、又は鑑定出来るなどと公言し、
外観を些細に観察し「ほら、墨のここのヒビの状態が・・・」とか、「これだけ時代がついている・・・」とか、
「彩色の色が古びて、そして剥離しかかっている・・・」とか、 |
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古墨を使用する作家の目的から言えば、どうでもよい「墨外観」の目視上の状態を仔細に観察することで古墨の真贋判断を下そうとする例がとても多いのです。
古墨が価値を持つのはどの様な事柄によるのか・・・、
墨を利用するアーティストが古墨に求めるものとは・・・何か・・・、
正真の古墨はどの様な事象を表現出来るから価値を持つのか・・・ |
表現の多様性を求めて古墨を探し求める、そして古墨を使用する作家の立場から言えば、墨の外観を眺め回し、それも拡大鏡などを用いて仔細に観察し、さすり回したりして古墨真贋を判断することは無意味、そしてこれらの「墨外観鑑定方法」で真の古墨だとの鑑定がなされたとしても、それは鑑定者の個人的判断=主張=に過ぎないと言う事実以外、判断が正しいとの根拠は何も無いのです。 |
墨の外観が如何に古びていても、外観から古墨本来の価値は一切生じないのです。
外観から生じるのは、それが正真の古墨であれ古墨であれ、古さに価値を見いだす骨董の世界の中でも一部の価値観であり、装飾の価値に過ぎず、古墨では「模倣骨董品としての意味」と共に「製墨技術を次代に伝える技術的意味合い」が加味され、これら製墨技術の継承に有効なことが重要なのです。 |
古墨か模倣古墨かを「炭素年代鑑定」で判断しようとする人も、一時期ですがいらっしゃった様子です。「炭素年代鑑定」で判断出来るのは、鑑定した墨の構成物が古いか否かだけで、実際に墨を製造した時期の鑑定には繋がりません。
この「炭素年代鑑定」で古墨か否かを確かめようとする人たちは、
原料=素材が古ければ古墨、と考えているのか、それとも、古墨に価値を求めるところが違う、つまり古墨そのものの理解が違うのではないか、と言うことになります。 |
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