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はじめに* |
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 有馬筆は書画用の実用毛筆です。
有馬で造る筆、または有馬で造る毛筆と同じ手法・技術を守って造る筆ですので有馬筆と呼ばれています。 |
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| この有馬筆から考案されたものに有馬温泉の土産品として人気高い有馬人形筆があります。 |
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| ２： |
有馬温泉は過去再三の大火《享禄元（1528）年、天正4（1576)年の大火では全町ほぼ全焼状態になり、更に元禄８(1695)年、宝暦４(1753)年にも大火があり一般的な古記録はほとんど残っていないに等しい状況です。
以下は兵庫県委託調査 財団法人 兵庫県文化協会の調査記録です。 ． |
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| ３： |
有馬筆の由来 下行のリンク先は、１９８０年３月刊行 兵庫県委託調査
| 財団法人 兵庫県文化協会『伝統的手づくり工芸品振興調査有馬筆（書画用）』 の抜粋です。 |
| 財団法人兵庫県文化協会 工芸品調査（兵庫県委託調査）「有馬筆(書画用)」 トップへ） |
摂津国有馬（現：神戸市有馬町）において筆づくりが始められた時期は古文書の記録を欠くため明確でない。
しかし、有馬温泉が日本最古の温泉として古くから開け、7世紀の頃から朝廷、貴族、僧など当時の文化人の来湯、滞在が多く、周辺に社寺も多く、また、筆毛の原料である動物、筆軸になる竹も豊富であったことなどから、古くから筆づくりが行われていたと推測される。古文書に朝廷への貢納等の記録がないのは、社寺で使用する筆の製造が主であったからではないかと考えられる。有馬温泉についての文献は多いが、有馬筆に関して記述したものは少なく、筆に関するものとしては、寛文4年（1664年）の黒川適祐の「有馬地志」の中に「巻筆」として「居民筆ヲ製ス五色ノ糸ヲ以テ其ハ管ヲ巻ク名ヅケテ巻筆卜曰フ。又管頭二紙ヲ以テ偶人ヲ造り管内二糸ヲ以テ之ヲ操ル。手二随テ出没ス是レヲ人形筆卜号ス。」とあり、現在も有馬温泉のみやげ物として著名な有馬人形筆 が紹介されている。
筆の産出は明治中期から大正初期にかけてなかなか盛んであって、有馬物産中の最高位を占め、明治23年の有馬温泉記（榎本義路）によると年額24,535円（明治22年調）製筆職工120戸321人、年産出高3，505，000本余、筆卸商10戸、同小売商23戸、筆毛卸売商3戸、同小売商5戸、筆軸卸小売商6戸で、明治19年以来産額が非常に増加したとしてある。次に大正4年の有馬温泉誌（辻本清蔵）には、年額18，600円（大正2年調）、職工96人としてあるから、すでに著しく衰退している。 |
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| ４： |
生産の現状
明治の最盛時、筆職130戸、320余人、生産数量は年間約500万本もあったと伝えられ、他に筆卸商、小売商、筆毛卸商、筆毛小売商、筆軸卸小売商もあって、筆の一大生産地であったが、現在は、書画用の製造は、下記の「みなせ筆本舗」1ケ所のみである。
なお、有馬温泉の観光みやげ品として著名で数百年の伝統をもつ「有馬人形筆」の生産も同町の「西田商店」のみとなっている。
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| 製造業者 |
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| 名称 |
みなせ筆本舗 |
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| 住所 |
神戸市北区有馬町1091－2（調査当時期）、現在は⇒650-0022 神戸市中央区元町通5－8－1 |
| 電話 |
078（904）*** （調査当時期）、 現在は 078-341-2,541(代) FAX 078-341-2,54６ |
| H.P. |
http://www.minase.co.jp/ |
| Eﾒｰﾙ |
office@minase.co.jp |
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製造業者
① 名 称 みなせ筆 ②神戸市北区有馬町1091番地の2 ③ 電話078（904）*** (取材、出版当時期)
現在は 650-0022 神戸市中央区元町通5－8－1 電話078-341-2,541(代)
FAX078-341-2,54６
書道用品専門店 みなせ 神戸元町 筆､硯､墨､紙 半紙･画仙紙･･･､ (minase.co.jp)
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そして 『兵庫県指定無形文化財 有馬筆（書画用）』技術に・・・・・ （有馬筆の認定）
１９８３年、私を含む有馬筆の職人達の技術が兵庫県指定無形文化財『有馬筆』製筆技術として認定されました。当時、既に有馬筆の製筆職人は６人のみ、その一人が私であり、更に一人が私の妻で、残る4人は「みなせ」の筆を造る各工程の筆職さんです。
現在（２００３年）では、有馬で筆を造っているのは私と妻、それと調査の時は従事していなかった女性一人の３人になっています。
確か１９９３年末頃です。兵庫県庁の文化財関係部署から電話をいただきました。
「兵庫県の市島町で筆を造っている人がいる。製筆場所が有馬ではないが有馬筆の職人として“ふるさと文化賞”をだしてもよいか？」との内容でした。
「ふるさと文化賞」とは、兵庫県が、世の表舞台に出ることは少ないが、文化を裏で支える仕事に従事し、文化の継承・発展に寄与している職人を顕彰する賞です。
 当時のみなせ筆職人の一人、南前氏には既に授与され、授賞式には私も参加させていただきました。
南前氏は有馬温泉の入り口、神戸電鉄有馬口に居住され、そこを仕事場とされみなせ筆の筆頭を造られていましたので県の該当部所も有馬筆職人としての認定に問題が生じなかったのでしょう。
今回の問い合わせ対象の職人は荻野氏と言われ、県の問い合わせをいただくその少し前（１９９２年頃）までは、みなせの筆職人の一人として若い時から市島町の自宅で筆頭を造り、出来るとその筆頭をみなせまで持参され、次の製造の筆種の指示を受けるとともに製造に必要な原毛を持ち帰り、筆頭を造られていました。
「もう年を取って筆を造るのが大儀になった」と申し出られたのは、１９９３年の初夏になる頃でした。
もうすぐ８０才という年齢にさしかかられ、案外と力を要する工程が多い筆造りには、そうか、もう無理だと思われたかと感じ取り、引き止めないままにそのまま退職されました。
悠々自適の生活でもされているのかなと思っていた矢先の問い合わせでしたので、まだ製筆されていたのかと感慨深く思ったものです。（荻野氏は２００１年１月に他界されたとのことです。合掌。）。
「おじめ＝尾（緒）締め」：
筆頭（筆頭の根元を強く締め、毛が抜け出ないようにする製筆工程のひとつ
（この工程を「焼締め」という産地もある）。 ． |
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| 兵庫県委託調査 財団法人 兵庫県文化協会(1980年3月刊行)『伝統的手づくり工芸品振興調査有馬筆（書画用）』 ： |
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| ６： |
この電話を県からいただく数年前から、日本の製筆業界は中国で造る筆との価格競争が激しくなり、
筆造りでは生活が成り立たなくなってきていました。後継者を育てても生活の保障をすることはとても出来ない。
どうしようかとの思案の末、中国筆産地のベテラン筆職人達に私が造る有馬筆の技術を全て余すところなく教え、みなせ筆の品質維持と数量確保に邁進している最中だったのです。
既に、半数以上の筆種については有馬で作るのと同様の工程・作業で、同等品質の筆を製造することが可能になっていました。
しかし、性質、品質などは同じでも中国で造る筆を有馬筆とは呼べない。どうしたらよいか？
と困惑している、正にそのタイミングで「有馬以外の場所で製造していても、有馬筆の伝承を守る製法技術で製造しているのだから有馬筆筆司として顕彰を･･･」との県のご意向は正に救いの神だったのです。
県の文化財関係部署が、有馬筆という呼称は製造場所でなく、その製筆技術と工程と品質である、との認識を示して下さったのです。
これで私が指導した製筆工程をまもり中国各地で、中国の筆職が造る筆も、その製法・工程・品質を守る限り有馬筆と呼べるのだ。嗚呼良かった・・・・・・というような経緯もあり、その後ますます有馬筆の製筆工程を、特性を中国筆職に教えるのにも力が入り・・・、
そして、伝統の有馬筆は今もなお、私と妻が有馬で、時には神戸元町で造る毛筆、
前述の中国の筆職人達が､私が指導した有馬筆の製筆法を守り造る毛筆 とともに、
旧来の有馬筆技術を伝承し、更に未来に向かって脈々と生き、活動しているのです。
| ★有馬筆の認定 |
| 認定 |
書画用の「毛筆」、それがいずれの地で生産された筆であっても「有馬筆」として流通させる、或いは「有馬筆」として取り扱うには、有馬筆技術保存会が「品質、性質、工程」を認めた筆であることが必要、且つ最低条件です（｢有馬筆｣の表示は｢兵庫県認定重要無形文化財“有馬筆技術保存会”｣の製筆工程・品質の確認
＆ 認定が必須です。） |
| 現状 |
「書画用実用筆 有馬筆」と「有馬人形筆」の混同・誤解により「有馬筆技術保存会」が造り、流通させる正真の「有馬筆」に≪有馬筆≫の名は刻されず、有馬筆技術保存会の母体「みなせ筆本舗」の筆屋号≪みなせ≫が筆名と共に刻されています。或いはシールに印字され添付されています。
販売箇所は「神戸市中央区元町通５丁目８-１の“みなせ”店舗」とその卸先の“流通各販路”に限られます。また、１９７０年代の後半期以降は、有馬筆誕生の地“有馬温泉”で「有馬筆技術保存会が認定する“有馬筆”」の販売はありません。
一部の有馬温泉著名旅館様から「みなせの筆を扱いたいのだが･･･」との有り難いお話もいただいたのですが、書画実用の筆であることを明確にするためこの有り難いお申し出を遠慮させていただいたこともありました。
そして、今なお「書道界」「教育界」「芸術界」「実用書」「挨拶文」・・・・などの必需品として種々の筆が造られ流通し、使用されています。 |
製造工程 ・ 製品販売 ・ 有馬人形筆とは |
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| 兵庫県無形・民俗文化財保護協会刊「兵庫県ふるさと伝統文化ガイドマップ」 |
| 製造工程 ・ 製品販売 ・ 有馬人形筆 |
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昭和58年=西暦1983年 |
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製造工程・製品販売 ／ 有馬人形筆 |
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みなせ筆の歴史へ |
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