「兼毫」との言葉が筆の性質を示す言葉として何時から用いられたかなどは定かではありません。
が、筆の性質を示す「兼毫」の「兼」は「異なる種類の原毛を混ぜ合わせること」を意味し、「兼毫」の「毫」は「弾力の有る筆」を指し、兼剛の「毫」の字が持つ本来意「細い長い毛」とは異なる使い方をされています。
筆種「兼毫」の本来意を示す漢字を用いるのなら、一連の「兼毫」筆とされる筆の性質から「兼剛」の字が正解です。
(「ケンゴウ筆」の「毫」は「剛」の当て字、或いは誤字として使用がはじまったようで、「兼剛」 が意味する“剛柔入り乱れる”筆頭の弾性の中で剛の方向に振れる筆
⇒ 「弾力有る筆」の意味を示すと同時に、「複数の原毛を混ぜ合わせ造る筆毛組」を一言で示す言葉として使用されてきました。)
以上のことで、書道筆で言う「兼毫」は、「毫」の字の本来意「細く長い毛」の意ではなく、「剛」⇒「弾性豊かな筆」の意として使用されます。
また、「兼毫筆」とあらわせば一言ですが、筆ごとに異なる原毛の組み合わせにより兼剛筆とされる筆の性質・品質はともにとても巾広く、実に多岐にわたる品質・性質の巾、そして寸法を持ちます。
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